1月9日にオンラインで開催された第17回ファンクショナルフード学会。その中で、島根県西ノ島町に生育する褐藻ツルアラメに関する新知見が発表され、注目を集めた。
講演を行ったのは、水産研究・教育機構水産大学校食品科学科の杉浦義正氏。同氏はツルアラメに含まれる海藻ポリフェノール「フロロタンニン」に着目し、その抗アレルギー作用に関する研究を進めた。2018年にin vitro試験にて6種のフロロタンニンに脱顆粒抑制作用と炎症関連酵素活性の阻害作用を確認。アレルギー性炎症マウスを用いた試験でも有効性が認められた。
杉浦氏は、これらの知見をもとに島根県西ノ島町沿岸部に生育している褐藻ツルアラメの抗アレルギー作用について調査した。毎月ツルアラメを採取し、抗アレルギー反応を調べたところ6~10月に総フロロタンニンが最も高含有であることが分かり、さらに有効成分として3種のフロロタンニンの単離・同定に成功した。
西ノ島町では昨年、西ノ島海藻加工センターが設立され、サプリメントを規格化したツルアラメ乾燥粉末の製造がスタートした町役場担当者は「年間1~2トン程の原料製造ができる。民間企業と連携して、全国の食品メーカーへの供給を進めていく」としている。
健康産業新聞 第1710号(2021年2月17日)掲載